読者の皆様こんにちは。
突然ですがお使いのスマートフォンってSIMカード何枚入りますか??
iPhone XS世代以降、全ての国内発売のiPhoneがeSIM対応になったり、2021年から新規販売されるスマートフォンにSIMロックがかからなくなったりと、ユーザーフレンドリーな世の中になってきましたが、みなさまどの程度その恩恵を受けておられるでしょうか?今日は2種のSIMカードを使う上で押さえておきたい情報をお伝えします。
まずは前提としてSIMの種類についてです。以前は物理的なカードでSIMカードと呼ばれるものしかありませんでした。昨今(と言っても10年以上経つが)はnano SIMというMicro SDカードを少し小さくしたくらいのサイズのカードに通信のための管理情報や電話番号を保存しておき、それをスマートフォンに挿入することでデータ通信や音声通話が可能になっていました。しかし2017年ごろからeSIMという新しいSIMの形状が使われ始めました。イメージとしてはSIMカードになる前(DoCoMoでいうmova世代)と同様、端末に直接データを書き込むことになりますが、ユーザーが手軽にインターネット経由で操作できる点がeSIMが進化した点です。
現在nano SIMとeSIMの2種類が主に普及しています。
前述のSIMですが、スマートフォンに複数挿入することで複数の電話番号の利用が1台で可能になります。しかし使用している機種によって挿入できるSIMカードの枚数や種類は異なります。例えば国内販売のiPhoneの場合物理的なSIMカード1枚とeSIMが挿入できます。ここで注意が必要なのはeSIMはあくまでデータなので、複数入れられるという点です。しかし複数挿入したeSIMが全て同時に使えるかどうかは別問題です。同時に使用できるのは2回線までなんです。ここで登場するのがDSDSという言葉です。
DSDSはDual Sim Dual Standbyの略です。これは音声通話の話です。つまり挿入されているSIM2枚が同時に待ち受けできますよ。という意味になります。これだけ書くと”当たり前やろがっ”って思われそうなのですが、実はDSDSの前にはDSSSという規格がありました。これはDual Sim Single Standbyの略で、要するに”2枚ブッ刺せるけど切り替えは自分でやってね。もちろん同時待受は無理だよーん”って話だったんです。こうみるとだいぶ便利そうに見えるDSDSですが(事実DSSSよりは便利だったんですが)、DSDSにも問題があって、4G(あるいは片方5G)で2回線がスタンバイしときながら、片方の回線で通話が始まるともう片方は3Gまでしか繋がらないという仕様だったのです。そこでDSDSの後釜として生まれてきたのがDSDV。これはDual SIM Dual VoLTEの略です。なんかいきなりstandbyって言葉が取れましたが、要するに”2回線中片方の回線で通話が始まってももう片方も4Gでも待ち受けできるぜっ”ていう機能でした。ブログタイトルはDSDSとなっていますが現実的には3Gのサービスが終了しているため、DSDVがサポートされていないと”デュアルSIM”としては使用できませんでした。
また別の問題として、通話中に4Gでインターネットを利用する際通信速度が低下する問題がありましたが、ここまでで紹介してきたデュアルSIMではどれも、通話中に2枚目のSIMで待受はできても使用することはできなかったため、この問題を解決することはできませんでした。また3G時代には一部の通信方式で、通話中は完全にモバイルデータ通信を使用できない仕様であったため、なかなか致命的でした。
そこで次に生まれてきた規格としてDSDAがあります。これはDual Sim Dual Activeの略です。そう、やっと通話中に2枚目のSIMでデータ通信が利用できるようになったんです。あっ、前提ですが、電話機1台での利用なので2枚のSIMカードで同時に通話って選択肢はありません(笑)。これでやっと役者は揃ったわけです!!ただし国内で販売されているスマートフォンのうちDSDAに対応している機種は少なそうです。
現状の携帯電話の音声通話では4Gを利用しています。DSDAでは片方の回線でしか5Gをサポートしていませんが先述の理由により両回線が5G対応である必要性はありません。したがって5Gを用いた音声通話が普及するまでは、完成系のスタイルとなっているわけです。(もちろん5Gでの通話の規格策定は始まっているのでそのうち問題にはなりそうですが)
2枚のSIMカードで同時待受できるようになった時点で、ユーザーが体感できる機能としてはDSDSとDSDVはあまり変化がありませんでした。そのためSIMカード2枚=DSDSって思っておられる読者の方もおられるかもしれません。仕事とプライベートの携帯をまとめたり、海外に行く際には切っても切れない問題になってくるので、その時が来たらぜひ一度見直してみてください。