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京都・けいはんな学研都市のソフトウエア開発・Webシステム
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OWASP ZAPの使い方: macOSとUbuntuサーバーを活用したセキュリティテスト

Webアプリケーションのセキュリティは、エンジニアにとって非常に重要なテーマです。その中で、オープンソースのセキュリティツール「OWASP ZAP(Zed Attack Proxy)」は、無料で使いやすいことから、初心者からプロフェッショナルまで幅広いユーザーに利用されています。本記事では、Mac(macOS 15)とUbuntuサーバーを使用し、OWASP ZAPを使ってWebアプリケーションをセキュリティテストする具体的な手順を解説します。


OWASP ZAPとは?

OWASP ZAPは、Webアプリケーションの脆弱性を検出するためのセキュリティツールです。主に以下の特徴があります:

  • プロキシツールとして動作し、HTTP/HTTPSトラフィックをインターセプトできます。
  • 一般的な脆弱性(クロスサイトスクリプティング、SQLインジェクションなど)の検出。
  • 自動スキャンおよび手動のペネトレーションテストをサポート。
  • 拡張可能なプラグインシステム。

特にオープンソースであることから、企業でも個人プロジェクトでも導入しやすい点が魅力です。


手順概要

以下の手順で、OWASP ZAPをセットアップし、セキュリティテストを実施します。

  1. OWASP ZAPのインストール(macOS)
  2. テスト対象のUbuntuサーバーの準備
  3. OWASP ZAPを使ったセキュリティスキャンの実行
  4. スキャン結果の確認とレポート生成

1. OWASP ZAPのインストール(macOS)

必要なツール

  • Homebrew(Macのパッケージマネージャー)

インストール手順

  1. OWASP ZAPをインストール:brew install --cask owasp-zap
  2. インストール確認:open /Applications/OWASP\ ZAP.appOWASP ZAPが正常に起動することを確認してください。

2. テスト対象のUbuntuサーバーの準備

OWASP ZAPを使うには、セキュリティテスト対象となるWebアプリケーションを動作させる必要があります。以下の手順でUbuntuサーバーを準備します。

必要な環境

  • Ubuntuサーバー(SSHアクセス可能な状態)
  • テスト用のWebアプリケーション

Webアプリケーションのセットアップ例

  1. 必要なパッケージをインストール:sudo apt update sudo apt install apache2 php mysql-server
  2. サンプルアプリケーションの配置:sudo mv /path/to/sample-app /var/www/html
  3. サーバーの起動:sudo systemctl start apache2
  4. アプリケーションのアクセス確認: ブラウザで http://<UbuntuサーバーのIPアドレス> にアクセスし、アプリケーションが動作していることを確認します。

3. OWASP ZAPを使ったセキュリティスキャンの実行

プロキシ設定

  1. OWASP ZAPを起動:
    • macOSでOWASP ZAPを起動します。
  2. ブラウザのプロキシを設定:
    • OWASP ZAPのプロキシはデフォルトで 127.0.0.1:8080 に設定されています。
    • ブラウザのネットワーク設定で、手動プロキシを有効にし、上記の設定を入力します。
  3. OWASP ZAPのトラフィック確認:
    • ブラウザでテスト対象のURLにアクセスし、OWASP ZAPでリクエストがキャプチャされることを確認します。

セキュリティスキャン

  1. スキャン設定:
    • OWASP ZAPの「Quick Start」タブから「Automated Scan」を選択します。
    • テスト対象のURLを入力し、「Attack」をクリックします。
  2. 進行状況の確認:
    • スキャンが進行する様子は「Alerts」タブや「Sites」タブで確認できます。
  3. 手動テスト:
    • 必要に応じて、ブラウザを使用してアプリケーションを操作し、追加のトラフィックを生成します。

4. スキャン結果の確認とレポート生成

スキャン結果の確認

  • 「Alerts」タブに、検出された脆弱性がリストアップされます。
  • 各アラートをクリックすると、詳細情報(影響度、解決方法など)が表示されます。

レポート生成

  1. レポートのエクスポート:
    • メニューから「Report」 > 「Generate Report」を選択。
    • HTMLまたはPDF形式でレポートを保存します。
  2. 結果の共有:
    • レポートをチームで共有し、修正が必要な箇所を検討します。

注意事項

  • 倫理的な利用: OWASP ZAPを使用する際は、必ず自身の所有するアプリケーションや許可を得た環境でのみ使用してください。
  • スキャン負荷: 大規模なアプリケーションでは、スキャンに時間がかかる場合があります。サーバーの負荷に注意してください。

まとめ

OWASP ZAPは、Webアプリケーションのセキュリティテストにおいて強力なツールです。本記事の手順に従うことで、基本的な自動スキャンから詳細な手動テストまでを実施できます。継続的なセキュリティ改善の一環として、OWASP ZAPを活用してみてください。